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底なしのギョーザ疑惑の闇の果て ひとの生きるのその意味を問う (02月02日)(土)

 暗い曇りで気温4−10度C。10時 田向氏が来訪して自宅の一部改修の件で相談。
 12時 朝日昼食会があって出席した(区内) 午後は依頼された原稿整理。
 18時30分 日本文化振興協会の夕食会に出る(神田)
 

●2007年10−12月期決算で売上高と最終利益が四半期としては過去最高となったソニーだが、現経営陣の最大の課題である08年3月期末の「営業利益率5%」の達成は厳しくなった。
 同社の復活シナリオは、米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題で最後の最後で書き直しを余儀なくされた。
 昨年10月の時点で同社は、通期(連結)の売上高を8兆9800億円、営業利益を4500億円と見込んでいた。これを達成できれば、営業利益率(売上高に対する営業利益の割合)はちょうど5%になる計算だった。
 
 ところが、昨31日の決算発表では、通期の営業利益見通しを4100億円に下方修正。これでは営業利益率は約4.6%となり、目標に届かなくなる。
 下方修正の原因について、同社の大根田伸行最高財務責任者(CFO)が挙げたのが、サブプライム問題を発端とする3つの要因だ。
 
 1つは、想定を上回る円高ドル安と円高ユーロ安の進行。輸出企業のソニーにとって円高は売上高と利益を目減りさせる。 2つ目が株式市況の悪化で、保有する株式や転換社債に評価損を発生させる。
 3つ目が不動産価格の下落で、これにより資産売却益が想定を下回る。
 これら3つの要因によるマイナスが計約600億円。通常業務で約200億円の上乗せが見込まれるが、差し引き400億円分がカバーできないという。
 
 振り返ると、業績悪化で株式市場の暴落を招いた03年の「ソニーショック」の後、出井伸之前会長が「07年3月期に営業利益率10%」の目標を掲げたが、業績は低迷したままで05年に退任した。
 その後を引き継いだハワード・ストリンガー会長と中鉢良治社長の現体制が同年9月に発表した中期経営方針で設定したのが「5%」だった。
 
 その後の同社は、本社跡地の一部売却など営業利益率5%を達成するため、なりふり構わず動いてきた。
 前出の大根田CFOは「(5%未達は)不可抗力的な意味合いがある」と経営責任はないことを強調するが、外部環境の悪化を言い訳にできるような軽い目標ではないのも事実。
 
 個別の事業を見ても、完全復活には今一歩といったところだ。液晶テレビ「ブラビア」は販売好調だが、収益面では「コストダウンが価格下落のスピードに付いていけない」(大根田氏)というおなじみのセリフで通期では赤字の見通しだ。
 昨年12月に発売した世界初の有機ELテレビも赤字で「すぐにビジネスにつながるとは思っていない」(同)という。
 
 「プレイステーション3(PS3)」も収益は改善しているが、製造価格が高く売れば売るほど赤字が増える「逆ザヤ」解消の時期は「来期後半以降」(同)。
 売り上げ目標も1100万台から950万台に下方修正している。
 次世代DVD「ブルーレイ・ディスク」事業も規格争いでは圧倒的優位に立ち、年末商戦も好調だったが、「100億円単位の赤字」(同)。
 ソニーで最近話題になる商品や事業は、いずれも収益に貢献していないのが実情だ。
 
 それでもパソコン「バイオ」やデジタルカメラ「サイバーショット」、PS2など“古株”の商品が利益に貢献しているため、見栄えのする業績になっている。
 08年3月期通期の最終利益は過去最高を見込むが、めでたさも中ぐらいといったところか。
 

●北京五輪に暗雲が立ちこめてきた。中国が開催の絶対条件として国際社会に約束した「食の安全」が“殺人ギョーザ”事件で大きく揺らいでいるからだ。
 被害者が1000人を突破した日本だけでなく、米韓まで非難を強めている。
 中国発の新型インフルエンザの世界的流行まで懸念されており、8月の五輪開催に重大な危機が迫る。
 
 中国は国家の威信をかけ、北京五輪を成功させようとしている。
 北京市内にあるメーン会場「国家体育場」(通称・鳥の巣)でも、8月の開会式に向け、急ピッチで建設作業を進めている。
 その矢先に、“殺人ギョーザ”事件が発生しており、中国当局が受けた衝撃も図りしれない。
 
 無理もない。中国の食の安全を統括する国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副局長(当時)は昨年10月、本紙などの取材に対し、「食品に関する非常に厳しい基準と監視システムを設けた。万一、問題が発生してもどこに原因があるか追及できるシステムを構築した」と胸を張っていたほどだった。
 ペットフードや練り歯磨き、養殖魚など中国産の有害物混入が相次ぎ、五輪への不安が世界に広がったのを受け、中国は食品の安全管理体制を大急ぎで整備してきた。
 
 「確かに、零細な食品工場もあるが、五輪ではHACCP(国際的衛生管理基準)を取得した優良企業だけが選手や観光客に食べ物を提供する。日本の皆さんに安心して五輪に来てとお伝えください」。魏副局長はこういって笑みさえ浮かべていた。
 だが、問題の“殺人ギョーザ”を製造した「天洋食品」がまさにHACCPを取得した代表的な優良企業。総局幹部が「模範」としてPRするため、わざわざ視察先に選んでいた工場でもあったのだ。
 事態を重く見た中国政府は即座に捜査当局の介入を決め、「工場で毒物は検出されなかった」との結果を発表、異例の早さで動いた。だが、原因は不明なままだ。
 
 中国に詳しいジャーナリスト、富坂聰氏は「当局の落としどころとしては『証拠がない以上、努力したが、原因が分からなかった』と迷宮入りにするか、時間がたってから『一従業員による個人的仕業だった』と持っていくしかないのではないか」と推察する。
 だが、そんな悠長なことを言ってられない国際環境が中国を取り巻く。 
 被害が拡大の一途となっている日本では、世論の声に後押しされるように舛添要一厚生労働相が、輸入禁止措置を定めた食品衛生法第8条の発動に言及している。
 
 大統領選まっただ中の米国では、ヒラリー・クリントン、オバマ両民主党候補がともに中国製品の安全性を批判したこともあり、ギョーザ事件を契機に米世論が一気にチャイナフリー(非中国産)に大きく傾く可能性がある。
 韓国でもギョーザ事件は大きく報道され、中国批判が強まっている。
 2005年に中国産キムチから寄生虫の卵が見つかり、韓国では批判が噴出した。今年になって、ようやく中韓間の輸出入が正常化した経緯があり、今や「日米韓という包囲網が布かれ、中国が追い詰められた状況」(富坂氏)なのだ。
 
 だが、中国政府はギョーザ事件だけにかかわってはいられない深刻な問題を抱えている。史上まれにみる大寒波の襲来である。
 現地報道によると、中国人が故郷を目指して民族大移動する春節(旧正月)直前にもかかわらず、中南部では半世紀ぶりの大雪に見舞われた。
 多くの地域が長期の停電に見舞われ、南北を結ぶ交通は完全にマヒしてしまった。
 政府は解放軍20万人を救助に動員する非常事態に入り、胡錦涛国家主席らが被災地入りし、「災害克服に向け、全中国が団結するとき」と呼び掛けざるを得ない状況に追い込まれている。
 
 広東省の広州駅では約50万人が足止めされ、飲まず食わずで排便を垂れ流すしかない惨状。
 温家宝首相が駅の1つに駆け付け、拡声器で「もう少しの我慢を!」となだめる場面もみられた。
 14日間も封鎖されたままの高速道では車内に閉じこめられ、多数の凍死者が出ているとも伝えられる。
 富坂氏は「胡錦涛政権にとって当事者能力が問われる最大の試練で、正月過ぎには温かくなってくれないと危機的状況に陥る」とみる。
 
 だが、天災を乗り越えてもなお、国際社会からギョーザ問題の解決を突き付けられており、「解くにも解けない矛盾を抱えた、まさに内憂外患だ」と指摘する。
 胡政権は発足以来、最大の危機を迎えているわけだ。
 さらに五輪開催に向け各国の専門家が憂慮するのが中国からの新型インフルエンザの大流行だ。人は新型ウイルスへの免疫を持っていないため、感染すれば死亡する確率が高く、豪州の研究機関は最悪の場合、中国だけで約2800万人が死亡すると試算している。
 「新型インフルエンザの流行が起きれば、ほかの対応どころではなくなり、五輪自体が吹っ飛んでしまう恐れすらある」。富坂氏はこう警告している。
 

●『小美術サロン』
 北大路 魯山人作 『椿花 大鉢』(写し)

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