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本来の理想と異なる騒動の 悲しき聖火長野へ入る (04月24日)(木)

 雨14−20度C 8時45分 トーヨーで打ち合わせ 9時 区へ
 9時30分 東部事務所へ監査 13時15分 小松川事務所へ行き監査 15時 案件があって小松川事務所から直接 小宮氏 吉永氏 茂木氏と懇談(千代田区内) 18時  国家財政問題フォーラムに出る(神田)
 

●野村証券では、インサイダー取引事件で中国籍の元社員(30)が逮捕された。
 収益源であるM&A(企業の合併・買収)業務や機関投資家との取引への影響は避けられず、経営にも打撃となりそうだ。
 サブプライム住宅ローン焦げ付き問題で巨額損失を出し、4月に経営陣を刷新したばかりの野村にとっては、まさに弱り目にたたり目である。
 今回の“八百長”事件で、信頼を失墜させた代償は大きい。
 
 「慚愧(ざんき)に堪えない(恥ずかしくて仕方がない)」−。
 22日夜に開いた緊急記者会見で、野村ホールディングスの渡部賢一社長(55)は何度もこの言葉を繰り返した。
 業績への影響については「お客さまの信頼を少なからず失った。当然影響は受ける」とした。
 
 株や債券などを運用する機関投資家の多くは、コンプライアンス(法令順守)を重視。
 不祥事を起こした証券会社については、当局の処分や再発防止策が出るまで取引を停止する社内規則を設けている。
 国内証券のストラテジストは「もっとも神経質なのが年金や信託銀行。
 生保、投信投資顧問といった国内の機関投資家も様子を見て追随する」と指摘。
 その言葉通り、22日には企業年金連合会が野村への株式発注の一時停止を決めた。今後も野村への注文を見送る動きが広がることは確実で、手数料収入の減少が予想される。
 
 また、金融庁による行政処分も業績に影響を与えそうだ。渡部社長は記者会見で「個人の犯罪」を強調していたが、不正に売買されたとみられる21銘柄のうち11銘柄以上が元社員の担当外だったことから、社内の情報管理に大きな問題があった可能性が指摘されている。
 渡辺喜美金融担当相も「厳正に対処する」と明言しており、厳しい処分が予想される。
 不祥事を起こした人物が直接かかわっていた部署については、業務停止になることが多い」(証券関係者)という。
 
 元社員が所属した野村証券企業情報部はM&Aなどを担当している。
 企業の機密情報が集まる「奥の院」のような部署で、約200人からなるエリート集団。
 「株売買で八百長をしてもうけようと思ったらいくらでもできる」(大手証券)とされる。
 総合情報企業のトムソン・ロイターによると、2007年度の日本企業がかかわるM&A案件のうち、野村証券が扱ったのは138件、約248億ドル(約2兆5500億円)でトップ。
 金額ベースでのシェアは20%近くに上り、2位のJPモルガン(約13%)を大きく引き離している。
 同部を中心とする投資銀行部門が稼ぎ出した税引き前利益は225億円(07年4−12月期)で、全体の約13%を占める。
 同部が厳しい処分を受ければ、野村のM&A業務が大きなダメージを受けることになる。
 
 また、信頼失墜によって顧客の“野村離れ”も懸念される。
 07年の国内企業のM&Aの助言で、国内首位のシェアを誇る野村だが、ジャーナリストの町田徹氏は「ここ数年は日本企業の増資や起債、M&Aの仲介などの大型案件を、海外での販売力が強い欧米の投資銀行に奪われている」と指摘。 「“本丸”のM&A部門で不祥事が起きたことで企業や自治体、国などの顧客は野村にビジネスを任せてよいのか、となる。
 野村は予防策を講じてはいたのだろうが、問題が発生した以上、営業面のダメージは計り知れない」とみている。
 
 元社員は06年2月に入社して07年12月に香港の現地法人に転勤するまで、企業情報部で「いろんな業務を経験しながら一人前になる途上だった」(山道裕己専務執行役)。 その立場を悪用して違法なインサイダー取引を繰り返していたことで、野村の社員教育や情報管理態勢の甘さも浮き彫りになっている。
 
 「アジア最強の投資銀行を目指す」という野村の戦略にも不安が出てきた。
 中国籍の社員を採用したのもアジア強化の思惑があったが、大きく裏切られた。渡部社長はグローバルな採用の方針に「まったく変更はない」と強調するが、より慎重な採用を強いられそうだ。
 サブプライム問題で07年1−9月の累計で1456億円の巨額損失を出し、08年3月期決算で大幅減益が予測される野村。
 「数カ月以内に痛手から立ち直る」(前出の証券関係者)との見方もあるが、大きくつまずいたガリバーが態勢を立て直すのは容易ではなさそうだ。

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