<カレンダーへ戻る
バックナンバー 

不況下のインフレひたひたと迫り 居酒屋も倒産の危機に (07月10日)(木)

 曇り20−30度C 10時 MAAへ行く(有明) 15時 月刊『カレント』編集会議へ行く(成城クラブ) 夜は稲垣清「いまの中国」を読む。
 

●ソウル発 毎日新聞   
 韓国の盧武鉉(ノムヒョン)前大統領が2月の退任の際、青瓦台(大統領官邸)のオンライン業務管理システムに蓄積された国政運営上の膨大な資料をハードディスクごと持ち出し、不法に私有しているという疑惑が浮上、李明博(イミョンバク)政権との確執が激化している。
 現状では事実関係と合法、違法の判断について双方の主張が対立しているが、国家資料の私有状態は批判を免れない。
 
 韓国紙によると、このシステムは盧前大統領が自ら考案し、特許も取っている。盧氏は「中毒」との風評もあるコンピューターマニアだ。
 青瓦台当局者が8日に公表した中間調査結果によると、資料の持ち出しは
(1)稼働中のものと同じシステムを外注し購入
(2)既存システム内の情報の一部を新システムのハードディスクにコピー
(3)新旧ディスクを交換し、より情報量の多い旧ハードディスクを搭載した新システムを、盧前大統領が退任後の生活用に慶尚南道金海市に新築した邸宅に運搬−−という手順で行われた。
 
 持ち出された資料は機密情報を含む240万件以上。李政権発足の時点で青瓦台に残されたサーバーには業務マニュアルなど1万6000件足らずの資料しかなく、人事ファイルや北朝鮮核問題関係の文書などは含まれていなかったという。
 政治的に役立つ資料は手元に温存し、残したくない資料は消去したのではないかという疑惑も指摘されている。
 
 盧前大統領側は「大統領記録物管理法」に従って825万件の文書を大統領記録館に送ったと説明。
 前大統領は官邸の資料を複写して持ち出したことは認めているが、ハードディスクの原本には手を出していないと主張している。
 一方、同法上、現職大統領は大統領記録館に入ってしまった前任者の資料を閲覧できない。
 李大統領のための政権引き継ぎ委員会は盧政権を軽視して青瓦台業務の引き継ぎをろくに受けなかった。
 後日の記録閲覧が難しいことを知らなかった模様だ。
 

●自民党の中川昭一元政調会長が10日発売の中央公論で、緊急経済対策を発表した。
 世界同時不況の兆しも指摘される中、「負の循環」に陥っている日本経済を転換させ、国民生活を守りながら経済成長力を回復させる「正の循環」に戻すというのだ。
 これまで、安倍晋三前首相や麻生太郎前幹事長の懐刀を自任していた中川氏だが、ついに“将来の総理候補”に名乗りを上げたのか。
 
 中川提言のタイトルは「日本経済復活のための13の政策」。
 国民生活や経済の将来不安を払拭(ふっしょく)すると同時に、現在の日本経済の不振を打破するための具体的政策を12ページにわたって記している。
 まず、サラリーマンや企業の不安解消のため、「定率減税の復活(2.6兆円)」や「法人税減税(2兆円)」を打ち出し、高齢者には「年金の物価スライド制復活」や「長寿医療制度での保険料軽減」を提示する。
 さらに「基礎年金の全額税方式」や「抜本的な少子化対策(2.5兆円)」を挙げている。
 
 そして、ヒト、モノ、カネを活性化させる施策として、「証券市場の活性化」や「政府系ファンドの創設」「世界的競争力を有する産業育成」「規格のグローバル化」「都市再生」などの具体策を掲げている。
 「保守派の論客」として、北朝鮮による日本人拉致問題といった外交分野での発言が目立つ中川氏だが、東大法学部卒の元興銀マンという政界有数の経済通でもある。
 スタグフレーション突入直前とも言われる日本経済だけに、減税や財政支出まで踏み込んだ自らの緊急経済対策を発表したようだ。
 
 自民党内では現在、与謝野馨前官房長官を中心とする「財政規律派(増税路線)」と、中川秀直元幹事長を中心とする「上げ潮派(歳出抑制路線)」が、経済政策をめぐって激しいバトルを展開している。
 ところが、中川氏は提言で「(両派とも)何を実現したいのか分からないし、現時点では焦点がずれているとしか言いようがない」とバッサリ。
 
 そのうえで、「国民生活が犠牲になりつつある足元の経済情勢では、国民生活を守り、しっかりとした経済成長を実現することこそ最優先でなければならない。国民を忘れた、『改革のための改革』を続ける余裕はなく、的外れの改革は即刻止めなければならない」とも訴えている。
 タブーなき提言は波紋を広げそうだ。
 

●サラリーマンの憩いの場「居酒屋」に逆風が吹いている。給料が伸び悩んでいるため、お父さんの小遣いも低迷し、ノレンをくぐる回数も減りがち。
 加えて、原油高や原材料高が居酒屋の経営を直撃し、弱り目にたたり目といった感じなのだ。
 こうした状況に、外食大手もこれまでのようなイケイケドンドンの新規出店を見直し、既存店のテコ入れに力を入れ始めている。
 仕事帰りの一杯すらままならないご時世は、なんとも寂しいかぎりだ。
 
 居酒屋チェーンを展開する外食大手では最近、積極出店して規模拡大を目指す姿勢を改め、既存店の体質強化へと大きくかじを切っている。
 不採算店の閉鎖と出店をバランスよくやり、もうけが出る態勢づくりを進めているわけだ。
 居酒屋チェーンの「甘太郎」「北海道」などを展開するコロワイド(横浜市)は、2008年3月末の店舗数が1年前より48店減って933店になった。
 07年度中に21店を出店したが、不採算や重複する店舗など69店を閉めたためで1999年の上場以来、初めての店舗減少となった。
 
 「コロワイドは居酒屋業態を中心に既存店売上高が想定以上に低迷し、08年3月期の連結売上高は前期比0.3%減の1166億円になった」(証券アナリスト)
 「和民」「坐・和民」などを展開するワタミ(東京都大田区)も、08年3月末の店舗数が1年前より12店減って598店になった。
 07年度中に12店を出店したが、不採算店などを24店整理したため、600店の節目を割り込んだ。
 「居酒屋業界では、各社とも既存店売上高が対前期比で100%割れが続いており、ワタミでも08年3月期のグループ既存店売上高は前期実績の97%にとどまっている」(同)
 
 店舗数を減らした両社は今年度、出店を増やす方針で、09年3月末までに「10店増の943店にする見通し」(コロワイド広報)、「19店増の617店に増やす予定」(ワタミ広報)という。
 ただ、これはあくまで現時点での計画。「消費低迷がさらに深まり、原油高や原材料高の影響が大きくなっていけば、必然的に計画を見直さざるを得なくなるだろう」(同)とみられている。
 
 日本フードサービス協会(東京都港区、正会員・賛助会員合わせて834社)の調査では、「パブレストラン・居酒屋」の店舗数はジリジリ減り続けている。
 直近の5月調査の結果をみても、店舗数は1778店で前年同月より28店減少。昨年10月以降、8カ月連続で前年同月割れを記録している。
 「この調査は、会員へのアンケートという形で行われており、回答しなかった会員企業の店舗数は含まれない。そのため、調査で出てきた店舗数と実際の店舗数とは若干の開きがあるとみられるが、それでも居酒屋が減少傾向にあるのは紛れもない事実」(関係者)という。
 
 居酒屋の減少傾向について、第一生命経済研究所の主任エコノミスト、永濱利廣氏はこう指摘する。
 「単純に利用者が減っているのが要因です。直接的には少子化による人口減、間接的には給与水準の低迷による外食控えがある。
 携帯電話などの通信費の負担増から、若者たちの節約意識が高まっていることもあるでしょうね。
 これに原油高による原材料費の高騰が加わる。居酒屋減少の理由を挙げたらキリがありません」
 
 原油高で漁船が休業するご時世。料理の原材料やビールなどの価格が上昇しているが、安さがウリの居酒屋だけにメニューへの価格転嫁はなかなかスムーズにはいかない。
 ライバルの居酒屋との客の奪い合いが激しくなるほど、転嫁は進まないことになる。
 居酒屋を取り巻く環境はとにかく最悪。生き残りをかけた戦いをどう勝ち抜けばいいのか。永濱氏は次のようにアドバイスする。
 「物価高で生活防衛意識が急速に広まるなか、『どうせ外食するなら専門店』という傾向も高まっています。すしや焼き肉、ラーメンなど、そこにしかない個性がウリのお店は、そこそこ奮闘している。居酒屋が元気を取り戻すとしたら、これがヒントになるかもしれません」
 政財界には、来年にかけて日本の景気はドン底へと向かうとの観測もある。居酒屋復活は容易ではなさそうだ。

<カレンダーへ戻る