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押さえ込む踊るリングに汗の飛ぶ 女子レスリング伊調の勝利 (08月18日)(月)

 今日は涼しい。22−30度C 8時30分 案件があって熊谷氏来訪 9時30分 写真撮影 10時30分 案件があって中田氏 小石氏と懇談(区内) 12時 昼食会(区内) 14時 國際美術工芸協会の役員会(千代田区内)
 18時 ゴールド・ドーム会懇談会(中央区内) 夜は持永毅一「突然死」を読む。
 

●産経新聞掲載の竹中平蔵 『ポリシー・ウオッチ』
 『“大きな誤り”の始まり』を以下に引用すると・・・
 
危険な分かれ道
 北京オリンピックが開幕した。スポーツの祭典オリンピックではあるが、常にその時々の政治的な影を映し出してきた。
 どの国も国威発揚のためにオリンピックを活用することを考える。
 かつての日本でも、そういう側面はあった。しかし今回の北京オリンピックには、従来以上に国威発揚を目指す姿が感じられる。
 もちろんこれを契機に、中国が国際社会の責任ある一員としての立場を確立すれば、それは世界全体の利益につながる。
 そのようなプロセスが実現することこそを期待したい。
 
 しかしオリンピックという「宴」の背後で、中国社会は大きく揺らいでいる。テロの発生という政治的混乱に加え、経済にも変化が生じている。
 開会式が開かれたその当日、上海の株価は前日比マイナス4%と大きく値を下げた。
 大会で中国選手が華々しく活躍し、国民が熱狂するその傍らで、開幕後4日間で株価はさらに6%下落した。
 
 ちなみに同期間、日米の株価はほぼ横ばいだった。中国の長期的な発展力は間違いなく大きい。
 それを発揮してもらうことは、われわれの利益でもある。しかし中国社会が抱える経済的自由と政治的不自由という大きな矛盾が、次第に蓄積されつつある。その社会的不満を打ち消すために成長を続けなければならないという宿命のなかで、経済にはバブル的な要素が生まれてきた。
 中国はこの大きな矛盾をどのように解決していくのか。政策運営の大きな方向を誤れば、市場から厳しい評価を受けることになるだろう。
 
 政策の基本的な方向という点では、日本も大きなリスクに直面している。
 その心もとなさは、経済の基盤が弱い分、日本の方が深刻とも言える。
 この点は、今年第2四半期の国内総生産(GDP)は年率換算でマイナス2・4%成長という数字にも示されている。
 
 1990年代の日本経済は、政策の大きな方向を誤ったがゆえに「失われた10年」を経験した。
 当時、グローバル化する経済に対応して経済の仕組みを根本的に組み替える「構造改革」が必要であったにもかかわらず、2つの誤った政策が採られた。
 1つは、公共投資など政府による財政支出を拡大するという偏ったマクロ政策だ。10年間の追加経済対策は130兆円、GDPの26%に達した。
 にもかかわらず、平均成長率は1%だったのである。もう1つの誤った方向は、ある時点からやみくもに財政再建に走ったことだ。
 平成9年の消費税引き上げをきっかけに、日本経済は危機的な状況を経験した。
 
 財政拡大(ばらまき)派と再建至上(増税)派は相対立するようで、構造改革に反対ないしは不熱心という点では共通している。
 懸念されるのは、新しい福田政権において、90年代における日本の経済運営の大きな誤りをもたらした「ばらまき派」と「増税派」が要職を占めていることだ。
 小泉政権が終わって以降、日本の経済政策に対する評価は、方向は間違っていないがモメンタム(勢い)が低下したということだった。
 しかし今、両派によって政策の基本的方向を誤るというリスクが生じている。日本経済は、中国経済以上に危険な分かれ道に立っている。
 
下がる生活水準
 危惧(きぐ)される具体的事例が、目の前で起こりつつある。
 原油価格高騰などに対する救済措置だ。原油価格の高騰で、漁業関係者らに大きな影響が出ているのは事実である。しかし経済政策として重要な点は、今回のように輸入価格が上昇し「交易条件」が悪化している下では、国民の生活水準低下は避けられないという事実である。
 厳しいが、これが資源輸入国の現実なのだ。政治の指導者は国民に、「我慢しよう。歯を食いしばって、これをしのごう」とまず訴えなければならない。にもかかわらず現状は、国民に対し痛みに耐えることを訴える政治勢力は皆無である。与党も野党もばらまき型の政策を求め、一部メディアもこれをあおっている。
 
 物価上昇への対応のみならず、景気の悪化に対して補正予算で積極的な財政措置をとろうとする動きも顕在化している。経済界も、一般論としてはこれを批判する一方で、各業界単位ではプラスになるものなら勝ち取ろうとする。
 選挙を控えた各政党は、圧力団体のご機嫌取りに躍起になっている。構造改革による中期的な成長ビジョンなく短期的なばらまきを行う姿は、90年代の「大きな誤り」を彷彿(ほうふつ)とさせるものがある。
 
 危惧されるもう一つの点は、政府与党首脳の発言のなかに、とんでもない「的外れ」の意見があることだ。また、こうした発言がほとんど話題にもならないことだ。
 麻生太郎自民党幹事長は、証券税制の見直しを訴えている。その是非以前の問題として同氏は、「これは政府支出ではない」と発言している。
 しかしこうした税の減免は、英語で「TAX EXPENDITURE」(税による支出)といわれるように、これは政府の実質的な支出なのである。また与謝野馨経済財政担当相は、アメリカなど海外経済が回復すれば日本経済も容易に回復するといった趣旨の発言をしているが、これも専門家の常識から大きく外れている。こうした的外れな発言の中に、政策の根本的な方向を誤った90年代の政府の姿が重なるのである。
 
 中国はオリンピックの後、政治と経済の間にある大きな矛盾と直面せざるをえなくなってこよう。上海万博の開かれる2010年を控えて、調整は一層加速されてくるのではないか。
 一方この時期に日本では、90年代に経験したような政策の「大きな誤り」が再び始まろうとしている。そうなれば、日本経済はまた「失われたX年」に向かってしまう。これまでも日本の論壇は、政策の小さなミスに大騒ぎするが、大きな誤りを見過ごす傾向があった。
 だからこそ、90年代の誤りは起きたのである。まずは、交易条件の悪化という事実の前で、国民に堂々と痛みを求めるリーダーの声こそが必要だ。

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