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めろめろと視点の先行き米経済 金融安定法可決さる (10月05日)(日)

 爽やかで起き易い 曇り 17−23度C 6時 起床 10時 勤労者福祉大会があって出かける(千代田区内) 14時 案件があって石原氏と要談(中央区内)
 18時 案件があって戸田氏と懇談(中央区内) 
 夜は出井正「グローバル時代の経済」を読む
 

●世界中がかたずをのんで見守っていた米国の金融安定化法案の修正案は日本時間4日未明、米下院で可決され、成立した。
 この法案が否決されたら世界経済はドン底にたたき落とされ、町中が失業者であふれ返る恐れもあっただけに、ホッとひと安心といったところだが、手放しで喜んでもいられない。
 専門家の間では「たとえ法案が成立しても米金融機関の破綻危機は続く」(金融アナリスト)との見方が根強いのだ。
 
 法案成立後の市場の反応が「破綻危機は続く」ことを如実に物語っていた。
 米時間3日の米国株式市場では、主要銘柄で構成するダウ工業株30種平均が法案成立とともに急落し、前日比157.47ドル安の1万0325.38ドルで取引を終えた。これは2005年10月27日以来、約3年ぶりの安値水準だ。「来週の東京株式市場もさらなる急落に見舞われる可能性がある」(国内証券ディーラー)という。
 また、ニューヨーク外国為替市場の円相場も1ドル=105円台前半とほとんど反応しなかった。
 
 こうした反応の背景にあるのが、「米国の金融機関が金融安定化法案に基づき不良資産を分離する過程で資本不足に陥る可能性が高い」(金融アナリスト)という不安だ。
 実は米国の大手金融機関は、流動性が低く、時価の出せない「レベル3」と呼ばれる不良資産を大量に保有している。
 
 米大手金融機関のなかで「レベル3」の保有額がもっとも多いのはシティグループで、1546億ドル(16兆2330億円)。以下、JPモルガン・チェースが1097億ドル(11兆5185億円)、ゴールドマン・サックスが780億ドル(8兆1900億円)、モルガン・スタンレーが691億ドル(7兆2555億円)となっている。
 額はいずれも今年8月末現在のもの。
 そして「JPモルガン・チェースを除く3社の『レベル3』資産の保有額は、自己資本額を大きく上回っている。そのため、仮に修正金融安定化法案が成立しても、不良資産を分離する過程で資本不足に陥る可能性が高い」(金融アナリスト)のが実情だ。
 
 「レベル3」と呼ばれる資産の市場価格は、売買が成立していないため算定できない。金融機関は、米証券取引委員会(SEC)の開示モデルに基づき独自の価格設定を行っているが、裁量の余地が広く、実質的な価値は限りなくゼロに近いのではないかといわれている。
 同法案に盛り込まれた7000億ドル(約74兆円)を使って買い上げられるとみられているのが、ほかでもないこの「レベル3」資産なのだ。
 同法案では、総額7000億ドルの公的資金で、金融機関が抱える不良資産を入札方式で買い取ることが決まっているだけで、肝心な買い取り資産の対象範囲や具体的な価格水準は不透明なまま。
 
 金融危機を早期に収束させるには、対象資産はできるだけ広く、簿価で買い上げることが望ましいが、問題となっている住宅ローン関連の証券化商品などの時価は大幅に低下している。
 それを、市場価格からかけ離れた高値で買い取れば、それだけ政府の財政負担が増加し、ドル暴落の懸念も生じてくる。
 なにより、「暴利をむさぼったウォール街を税金で救済すべきではない」といった世論を無視して不良資産を高値で買い取ることは難しいとみられている。
 
 かといって、限りなく時価に近い安値で買い取るのでは、金融機関が不良資産を売却することに二の足を踏みかねず、公的資金の利用そのものが宙に浮きかねない。不良資産の買い上げ機関の運営はこうした二律背反のジレンマを抱えているのだ。
 「米政府は『レベル3』資産を簿価に近い相応の価格で買い取らなければ、金融機関の資本が大きく棄損し、またぞろ破綻する大手金融機関が出かねない。
 そうなれば、公的資金の個別金融機関への直接注入という最悪のシナリオに移っていかざるを得ないことになる」(金融アナリスト)
 米国の金融はどうしようもなく病んでいるようだ。
 
【米金融法案をめぐる動き】
9月15日 証券大手リーマン・ブラザーズが連邦破産法の適用申請
  16日 政府と連邦準備制度理事会(FRB)が保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)を事実上管理下に置くと発表
  19日 ブッシュ大統領、金融機関からの不良資産買い取り表明
  20日 政府が買い取りの公的資金枠を最大7000億ドルと発表
  25日 大統領と議会指導部が法案を協議。下院共和党保守派が反対、合意できず
  26日 下院共和党の対案と政府案の折衷案浮上
  28日 米政府と議会が大筋合意と発表
  29日 下院が法案否決
  30日 大統領が「緊急事態」と声明
      上院が修正案合意
10月1日 上院が修正案可決
   3日 下院が修正案可決(共同)
 
【米大手金融機関が保有する「レベル3」不良資産】
 シティグループ     1546億ドル(16兆2330億円)
 JPモルガン・チェース 1097億ドル(11兆5185億円)
 ゴールドマン・サックス 780億ドル(8兆1900億円)
 モルガン・スタンレー  691億ドル(7兆2555億円)
 ※いずれも8月末現在。1ドル=105円で算出

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