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熱狂の祭りのあとに放心す 衆愚の選択空しく終わる (09月05日)(土)

 幹事長と官房長官の主要人事が決まっていよいよ鳩山内閣が出発しようとしている。 晴れ 25−29度℃
 午前中 原稿 13時 外出 18時 夕食会(墨田区内)
 

●自民党から民主党への政権交代に伴い、産経新聞社が主要業種の大手企業に実施したアンケートで、「景気が上向くかどうか分からない」と答えた企業が約7割にのぼった。
 経済に与えるプラスの影響として、「家計や消費」を挙げる回答が目立った一方、「財政悪化」などマイナスに働くとみる声も多く、民主党の経済政策運営に対し、不安におののく産業界の姿が浮かび上がった。
 
 アンケートは衆院選期間中の8月下旬に行い、30日の開票直後に寄せられた回答を集計したもので、89社から回答を得た。
 民主党への政権交代をきっかけに、景気は上向くと思うかどうかを聞いたところ、「上向く」の回答はゼロで、「上向く可能性が高い」も7社にとどまった。
 「分からない」は62社と約7割を占めたほか、「上向かない」と断定する企業も8社あった。
 
 経済に与えるプラスの影響(複数回答)は、民主党が重点を置く家計支援策を好感し、「家計や消費」が36社と最多だった。
 「社会保障」も23社に上ったが、「財政健全化」や「経済成長」は回答ゼロ。逆に、経済へのマイナス面(同)では現在以上の歳出拡大のリスクを懸念し、「財政悪化」が40社と突出した。
 
 一方、民主党の掲げる政策で効果が期待できるもの(複数回答)としては、マニフェスト(政権公約)の目玉である「子ども手当」が32社と最多だった。
 「(ガソリン税などの)暫定税率の廃止」「年金制度の一元化」がともに17社で続いた。これに対し、効果の期待できない政策(複数回答)は、新政権への移行後も議論の予想される「郵政見直し」が27社でトップ。
 マニフェストの柱のひとつでもある「高速道路無料化」には24社が「期待できない」と指摘した。
 
 新政権に求めたい政策(複数回答)では、「成長戦略」と答えた企業が62社と全体の7割を占めた。具体的な注文では、「ばらまき型ではなく中長期的な産業振興」「国益を支える製造業の活力向上」や、「国家の進むべき明確な将来像を示してほしい」といった声が聞かれた。
 景気の現状認識は5月の前回アンケートに比べて改善し、最悪期からは脱したもようだ。
 

●民主党の鳩山由紀夫代表が小沢一郎代表代行に幹事長就任を要請し、小沢氏も受諾した。
 総選挙で308議席と大勝した巨大与党をまとめ、来年夏の参院選で同党が単独過半数を確保するためには、小沢氏の「剛腕」が不可欠と判断したためだ。
 ただ、小沢氏が西松建設事件で5月に代表を辞任してから、わずか4カ月足らずで再び党の全権を掌握する形となるだけに、早くも「権力の二重構造」批判が飛び出している。
 
 「代表から幹事長就任の要請をいただいた。私としては党人でございますので、代表の要請をお受けすると返事をしてまいりました」
 小沢氏は3日夜、鳩山氏との会談後、表情を変えずに記者団にこう語った。
 
 小沢氏起用の理由について鳩山氏は「今回の選挙で代表代行として頑張っていただき、300を超える議席を得ることができた。参院選でも勝利を収めなければならない」と説明。
 実績を評価したうえで、次期参院選対策であるとした。巨大政党をおさえる小沢氏の求心力や、連立を想定している社民、国民新両党と良好な関係を築いている点も、幹事長起用の要因とみられる。
 
 小沢幹事長が決定したことで、閣僚人事にも小沢氏の意向が大きく反映されるのは間違いない。鳩山氏は4日、新政権の閣僚や党役員、衆院議長らの人事調整を本格化させた。
 注目の官房長官には鳩山グループの平野博文役員室長の起用が内定した。
 岡田克也幹事長を外相や財務相、菅直人代表代行を国家戦略局担当相などに充てる案も有力視されている。閣僚候補の身体検査も今後1週間程度行う見通しだ。
 
 一方、小沢氏の幹事長就任は、「小沢氏が岡田氏との権力闘争に勝った結果」(中堅)と見る向きが強い。
 もともと、鳩山、岡田両氏らは選挙直後に主要閣僚を先行内定して閣僚人事を進める方針だったが、小沢氏周辺が巻き返し、白紙となった経緯がある。この間、小沢氏は周辺に「人事で何も相談がない」と不満を漏らしていたとされ、別の周辺は「幹事長を取りに行く」と宣言。鳩山氏はこうした声に配慮したというのだ。
 
 実際、選挙担当に限られていた代表代行ポストに比べ、幹事長の権限は絶大だ。国会対策や党資金の調達・配分、選挙の公認決定、党役員人事を一手に取り仕切ることになる。
 鳩山氏は16日、首相指名を受けて直ちに新内閣を発足させる方針である。
 今回の選挙で初当選した「小沢チルドレン」を含め約120人のグループが小沢氏の脇を固めているため、今後も小沢氏の意向は無視できない。
 こうしたことから4日、下野する自民党閣僚からさっそく「二重権力」批判が飛び出した。
 
 甘利明行革担当相は閣議後の記者会見で「民主党は政府与党の一体化が大事だと言っていた。小沢氏が閣内に入らなければ当然、二元体制になる」とチクリ。河村建夫官房長官は「西松建設事件はまだ解決されていない。説明責任をどう果たすかだ」と述べた。
 もともと、小沢氏は20年前に47歳の若さで自民党幹事長に就き、当時の竹下派の「数の力」を背景に権勢を振るった。
 「みこしは軽くてパーがいい」と言い放ったともいわれている。1993−94年の非自民連立政権では、新生党代表幹事として与党代表者会議を取り仕切り、「二重権力」と批判された。
 
 こうした「二重権力」批判について、鳩山氏は「(小沢氏は)政策には基本的にかかわらない」と否定する。
 ただ、党内でも小沢氏と距離を置く議員を中心に異論も出ている。
 ある幹部は「“中野寛成ショック”をはるかに上回る衝撃で、放心状態だ」と言い放った。
 鳩山氏が2006年、代表選で3選を決めた日、論功行賞として旧民社系を率いていた中野氏を幹事長に指名、その3カ月後に代表辞任に追い込まれたことを指したものだ。
 果たして鳩山氏の決断は新政権の行く末にどう影響を及ぼすか。

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