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文春で薬師寺東塔の謎を読む 暗く書斎の晩秋の午後 (11月21日)(日)

 法人税減税が緊急の課題である。日本が40% 欧州が25−30%で勝負にならない。 午前中 原稿 午後は外出。 夜は雑誌 週刊誌 書類 手紙の整理 桜井よし子「中国はなぜ恫喝をやめないのか」 佐々淳行「ザ・ハイジャック」を読む。
 

●柳田稔法相は21日午後、国会軽視と取れる自身の発言をめぐる問題について、法務省内で記者団に「今後とも真摯(しんし)に国会答弁を行いながら、頑張っていきたい」と述べ、続投の意向を表明した。
 法相の辞任を要求している自民党は22日、衆院に不信任決議案を、参院に問責決議案を提出する。問責案は野党の賛成多数で可決される情勢で、民主党内には法相辞任による事態収拾を求める声が強まっている。
 菅直人首相は野党の出方や世論を見極めつつ判断する考えだ。
 
 民主党の岡田克也幹事長は21日のNHKの番組で、法相進退について「職を辞さなければならない問題か、さまざまな意見がある。
 党の中でも議論を行っている」と述べ、法相辞任も選択肢に党内調整を進めていることを明らかにした。
 ただ、党内には、法相が辞任すればかえって野党の攻勢が強まり、仙谷由人官房長官らの責任問題に発展しかねないとの懸念もある。岡田氏は「(問責案を)5人も6人も出すという話もある。
 野党がどう考えているのか見極めていく」とも語った。
 法相問責案は、24日の参院本会議で採決される。自民党に加え、公明、みんな、共産、社民各党なども賛成する方針で、可決は確実だ。 
 

●昨年、政界を引退した海部俊樹元首相(79)が17日に発表した回顧録で、かつての盟友だった民主党の小沢一郎元代表(68)に強烈な“紙ビンタ”を見舞った。
 「壊し屋」の異名を取る小沢氏の政治手法を「どうしようもない性癖」「誘惑してその気にさせて、壊す」と猛批判したのだ。
 疑惑を呼んだ政治資金集めについても「強引」などとバッサリ。永田町激震必至の中身とは−。
 
 回顧録のタイトルは『政治とカネ』。発売元である新潮社の担当編集者は「企画が上がったのは今年1月。
 海部先生が政界を引退されたのを機に回顧録出版をオファーしました」という。
 海部氏は1931年、愛知県出身。早稲田大法学部を卒業後、60年に衆議院議員に初当選した。
 内閣官房副長官、文相などを経て、89年に首相に就任。その後、自社連立に反発して自民党を離党し、新進党党首、自由党最高顧問を歴任した後に自民党に復党。
 しかし、自民党が歴史的大敗を喫した昨年8月の衆院総選挙で落選し、政界を引退した。
 
 著書の中で海部氏は「世の中には『墓場まで持っていく話』というのがあるが、私は、隠し立てすることなくありのままの出来事を書いていく」と宣言。
 刺激的な書名通りの、実にぶっちゃけた内容がつづられている。
 その中で最大の注目は、かつての仲間である小沢氏の人間性について詳細に論評したくだり。
 海部氏は、自民党、新進党、自由党で3度にわたって組んだ感想として「あの『壊し屋』に関わるとほとほと疲れる」とぼやき、何度も離合集散を繰り返した小沢氏の政治手法を「人の陣地に手を入れて、誘惑してその気にさせて、壊す。あの性癖は、死ぬまで治らないのではないか」と書いている。
 
 さらに、89年8月に発足した第1次海部内閣で、幹事長だった小沢氏から「担ぐ御輿は、軽くてパーなヤツが一番いい」と新聞紙上で揶揄(やゆ)されたことを小沢氏に問いつめると、「言った憶えは断じてない」とすごみ、書いた記者を呼びつけたエピソードも明かした。
 
 新進党解党後、無所属になっていた海部氏を自由党に迎え入れる際には、「しおらしく」頭を下げたこともあったという小沢氏だが、その「傍若無人」ぶりに幾度も振り回された海部氏は、「腹の底から信頼し合う関係を築こうとは思わなかった」「誰にとっても心の通い路を造れない相手」と断じている。
 
 このほか、回顧録では55年体制下での自民党の金権政治の内幕も暴露。
 在任時はクリーンなイメージが売り物だった海部氏だが、河本派(当時)に所属していたころは、自民党総裁選で「各派に金を運んだ」と懺悔。
 「立たぬ札束は端金」「300万円積んではじめて(札束が)立った」「デパートの紙袋であれば、1袋に入るのは、せいぜい2億円まで」などと大金が飛び交った時代を振り返っている。
 現在の民主党政権の外交における無策ぶりや、子ども手当や高速道路無料化などのご都合主義的政策については、「大いなる危惧を抱いている」。
 そうした民主党の体質を生んだ元凶として小沢氏の存在を挙げ、「日本社会全体を傷つけている罪は海より深い」と非難している。
 海部氏からの批判について小沢氏の見解を聞こうと事務所に取材を申し込んだが、期限までに回答はなかった。
 

●沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で、その傍若無人ぶりが浮き彫りになった中国。
 強硬な政治力と急速に発展する経済、拡大する一方の軍事力−。
 日本を丸飲みしそうなほどの中国の実力を改めて検証する。
 
 神戸の海上保安官一色正春(43)が巡視船と中国漁船との衝突映像をネット上に流出させて約2週間がたった。
 いまも国内では余波が続いているが、気になるのは中国政府や中国国民が一連の事件をどのように受け取ったのかということだ。
 在日中国人向け華字紙の編集長はこう話す。
 
 「中国政府は菅内閣の弱腰を見越したうえで、映像にはまともに取り合わず、『中国領海で日本の巡視船がぶつかってきた』と信じる国民に対しても(正確な)情報を伝えていません。中国政府の関心は、すぐに胡錦涛国家主席の欧州訪問やAPECなどでの欧米首脳との会談に移り、尖閣問題はおろか菅首相との会談もほとんど報道されませんでした」
 中国の国内では、累計6兆円に及ぶ日本からのODA(政府開発援助)も伝えられず、日本の存在感は薄れる一方。「もはや日本は完全に無視されています」という。
 
 あくまで強硬姿勢の政治に対し、経済面の実力はどうか。
 『中国経済 真の実力』(文春新書)などの著者で放送大名誉教授の森谷正規氏は、「『中国がクシャミをすれば日本がカゼをひき、中国がカゼをひけば日本が肺炎になる』状態に近づきつつある」とし、「もはや引き返せないところまで来ている」と指摘する。
 森谷氏によると、中国の経済は将来、米国をも追い抜く勢いだという。
 
 「蓄積がさほど求められない情報通信の分野で伸び、蓄積が求められる工業技術の核心分野では、日本の技術が流出しています。人件費は低く抑えられている一方で、市場規模は巨大。購買力平価でみたGNP比は日本の3倍近くで、2020年半ばには米国と肩を並べ、その後は引き離していくでしょう」
 すさまじい勢いだが、その反動から「国民の暴動による国家の崩壊が唯一最大のリスク」とも指摘する。
 
 政治、経済分野の国力が増すに連れて中国が狙うのが領土領海の拡大。
 領海侵犯などの不法行為に対し、日本は毅然な態度を取らなくてはならないが、その後ろ盾となる日米関係はギクシャクしたままだ。
 元航空幕僚長の田母神俊雄氏は「日米安保はあくまで『抑止力』が前提。それが破綻した時に米軍がどう動くかは未知数」と前置きし、次のように解説する。
 
 「中国はすでに世界ナンバーワンの米国債保有国であり、核保有国でもある。
 いざというときに米国を牽制する強力なカードを2枚も持っています。
 その中国に対し、米国が日本の無人島(=尖閣諸島)を守るために軍事行動に出るかは疑問。日米安保は、中国との軍事バランス上はまったくアテになりません」
 単純な軍事力の比較では、いまのところ「海、空ともほぼ拮抗している」(田母神氏)が、中国は2020年までに原子力空母2隻と通常の空母2隻を配備する予定。
 
 「これが実現すれば、尖閣に上陸されたときに日本は実力阻止ができなくなる。
 『自分の国は自分で守る』という考えの下、今後5−6年のうちに自衛隊も中国と同等規模の空母を導入しない限り、軍事バランスは瓦解するでしょう」と田母神氏は警告する。
 政治、経済、軍事力で、いずれも日本を凌駕しつつある中国。政権運営すらおぼつかない菅内閣が対峙する相手としては、あまりにも分が悪い。
 

●菅直人首相が、国会軽視発言をした柳田稔法相(56)を更迭するとの見方が、政府・与党内で急速に広がっている。 柳田氏1人のクビと引き換えに2010年度補正予算案の採決に持ち込むとともに、民主党政権に定着した「誰も責任を取らない」との悪評を払拭する一石二鳥の策を狙っているのだ。
 ただ、柳田氏を更迭すると不祥事閣僚の「辞任ドミノ」に発展する恐れもあるため、党内には慎重論も根強い。自民党が週明けの22日に提出する柳田氏の問責決議案をにらみ、ギリギリの神経戦が続いている。
 
「深く反省して、今後、誠心誠意頑張りたいと言われているので、頑張ってもらいたい」
 菅首相は19日夜、首相官邸で記者団に柳田氏続投を明言した。
 昼には民主党の岡田克也幹事長と輿石東参院議員会長と国会内で緊急に会談し、「辞任の必要なし」で一致。
 夜には首相公邸で岡田氏と再び会い、1時間以上にわたり対応を協議した。
 その一方で、柳田氏辞任=事実上の更迭に向けた地ならしも、着々と進んでいる。
 
 仙谷由人官房長官は同日の記者会見で、問責決議案が可決した場合について「本人の意志だ。その時点でどういう意見なのか、状況次第で予測しかねる」と辞任に含みを残した。渡部恒三最高顧問も「同情に値しない。(可決されれば)辞めていただくしかない。
 その前にも辞める選択肢がある」と述べた。柳田氏が所属する旧民社党グループの幹部も「問責決議案が出る直前に辞めるだろう」との見通しを示した。
 
 これに呼応するように、民主党幹部は水面下で自民党の幹部と会談。柳田氏更迭と引き換えに補正予算案の採決に応じるよう要請した。
 政府筋も天皇陛下の日程を宮内庁に問い合わせていることを認めた。
 後任法相の認証式のための調整とみられる。その後任としては、早くも菅グループの小川敏夫法務副大臣(62)らの名前が挙がっている。
 柳田氏の問責決議案が22日に提出されれば、24日の成立が確実。
 こうなると補正の審議はストップし、補正を自然成立させるためには12月3日までの国会会期を15日まで延長させる必要がある。
 
 民主党関係者は「仮に柳田続投で突っ走れば、問責は内閣の要である仙谷氏や馬淵澄夫国交相、岡崎トミ子国家公安委員長にまで及ぶ。
 小沢一郎元代表の国会招致問題も蒸し返される。今後の国会運営は困難を極めるだろう。
 野党の顔を立てて柳田氏を『個人の資質』で更迭し、結果的に補正が早く採決されれば御の字だ」と話す。
 
 あくまで続投を強行するなら、誰も責任を取らない民主党政権の体質に対する世論の批判も予想される。民主党は19日、国会内で当選1回生議員を対象にコンプライアンス(法令遵守)をテーマにした研修会を開いたが、終了後、ある議員は「柳田氏の辞任が先だ。
 どの大臣も辞めず、支持者からは誰も責任を取らない政権だと責められている。続投なら、菅内閣の支持率はますます下がる。小沢氏が言うように、“破れかぶれ解散”もあり得る」と苦しい心情を吐露した。
 それでもまだ、党内には野党の問責を突っぱねる強硬路線を主張する向きもある。野党の問責に屈する形で更迭すれば、これからのねじれ国会で野党が問責決議案をちらつかせるたびに、閣僚の更迭に追い込まれることになるためだ。
 
 民主党ベテラン議員は「いつまで野党共闘で審議拒否を続けられるのか。たとえば、公明党は補正審議に参加したくてウズウズしている。問責を無視する前歴をつくれば、ねじれ国会を乗り切るひとつの知恵になる」と話す。
 チキンレースは、ギリギリまで続きそうだ。

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