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北国に寒波の便り聞くころとなりて今日にて御用治めと (12月28日)(火)

 菅直人首相の威信が崩壊寸前となっている。来春の統一地方選の前哨戦として注目された、お膝元・西東京市議選(26日投開票)で歴史的大敗を喫したのだ。
 内閣支持率も退陣水域に限りなく近づき、政権浮上の秘策・奇策は見当たらない。
 こうした中、唯一、国民の注目を集めそうなのが「政治とカネ」の問題を抱える小沢一郎元代表に対する強硬姿勢。
 菅首相は27日午後の党役員会に自ら出席、小沢氏との徹底対決を選択したが…。
 
 「議員として、政治家の常識としてはそんなもの(=自発的離党)だろうとの趣旨で発言した」
 仙谷由人官房長官は27日午前の記者会見でこう語った。仙谷氏は前日、テレビの報道番組で、小沢氏が強制起訴された場合、自発的に離党すべきとの考えを示していたが、それを改めて確認したわけだ。
 
 これが、菅首相の真意を代弁していることは、仙谷氏がテレビ出演後、首相公邸に向かったことでよく分かる。2人は約1時間20分にわたり、小沢氏の国会招致問題が議題となる、27日午後の党役員会への対応をじっくり協議した。
 最近、菅首相は強気に転じたように見えるが、その足元は大きくグラついている。中選挙区時代に菅首相の選挙区だった西東京市の市議選で、民主党は現有5議席を上回る7人を擁立したが、当選はわずか3議席で、現職4人が落選したのだ。
 
 このショックは甚大だ。民主党は、人口約20万人という地方都市の市議選に、菅首相の伸子夫人や蓮舫行政刷新担当相らを投入し、異例のテコ入れをしていた。
 ところが、フタを開けると、11月の千葉県松戸市議選や今月12日の茨城県議選に続く大敗。菅首相の政権運営にさらに暗雲が立ち込めたのは間違いない。
 
 この暗雲を吹き飛ばすためにも、菅執行部は、小沢氏に対して政治倫理審査会への出席を求めるだけでなく、自発的離党までうながし、並行して、平沼赳夫代表率いる「たちあがれ日本」との連立工作を進めていた。いわば、小沢氏は政権浮揚の「生け贄」なのだ。
 一方、かつて「剛腕」「壊し屋」として恐れられていた小沢氏にも余裕はない。
 
 68歳という年齢を考えると、強制起訴されて刑事被告人となり「離党=無所属」となれば、以前の政治力を取り戻すことは絶望的だ。
 このためか、政治スタイルを大きく変えた。小沢氏はこれまで、極端にマスコミを避けて水面下で行動することで永田町内外に警戒心を与え、存在感をより大きく見せていた。自民党時代の同僚議員も「小沢は静かにしている時こそ動いている」と恐れた。
 
 ところが、最近は子飼いの中堅・若手議員との会食内容などが簡単に報道されるうえ、自分の言いたいことが言えるメディアを選び、相次いで出演している。官邸周辺は「党に残るため、死に物狂いでアピールしている」と分析する。
 先週末のクリスマス(25日)は、民主党の最大支持団体である「連合」の古賀伸明会長の仲介で、小沢氏は菅首相と会談した。
 これには岡田克也幹事長や鳩山由紀夫前首相、輿石東参院議員会長らも同席。
 古賀氏は、小沢氏の党残留を意識した「党内結束」「挙党態勢」を強く求めたが、菅首相と小沢氏の溝は埋まらなかった。
 
 翌26日放送のラジオ番組でも小沢氏は、「明治時代のリーダーが偉かったのは、江戸幕府の中からもいい人材はどんどん登用したこと」「リーダーが『こういう日本をつくりたい。そのためにみんなで頑張ろう』と自信を持って言えるようにしないといけない」などと、暗に、挙党態勢の構築を求めた。
 「小沢切り」で政権延命を図ろうとする菅首相と、「党残留」で権力維持を目指す小沢氏。追い詰められた2人による国民不在の争いは、年明けまで続きそうだ。
 

●4−10度C 快晴のち晴れ 曇り 10時 案件があって星田氏 三和谷氏と懇談 12時 WWAに出る。 16時 カレント役員会 懇談会 19時 サイレント・オーラに出席する。 夜は雑誌 手紙 書類の整理をする。
 

●緊迫化する朝鮮半島情勢に関する、ロシアの暗号電報を一部入手した。
 北朝鮮による韓国・延坪島砲撃事件以降、両国は警戒態勢を解いていないが、ロシアは「第二次朝鮮戦争が勃発する危険性が強まっている」「北朝鮮は追い詰められれば核攻撃も辞さない」と分析しているという。
 驚くべき暗号電報の中身。大宅賞ジャーナリスト、加藤昭氏の緊急リポート。
 
 ロシアが朝鮮半島情勢に異常な危機感を示している。
 私(加藤昭)は前回21日の本紙リポートで、ロシア連邦保安庁(FSB=旧KGB)幹部の話として、「米韓両国が軍事的圧力を加え続けた場合、北は無差別報復テロなどを仕掛ける可能性が高い」「生物・化学兵器の使用も懸念される」と報告した。
 
 その後、ロシアのチュルキン国連大使が、南北双方に自制を求める声明案を提出した際、「放置すれば数千人が死亡する事態を招く」「世界が数十年間経験したことのない規模の惨禍を招きかねない」などと、強い表現で警告していたことが報じられた。
 
 一体、ロシアは朝鮮半島で何が起こると分析しているのか。今度は、ロシア国防省高官に接触した。
 ――チュルキン大使の表現は尋常ではない
 「私は、第二次朝鮮戦争の勃発を否定しない。モスクワには毎日、ソウルや北京、ワシントン、東京などから暗号電報が届くが、いずれも『南北は一触即発の事態』『いつ軍事衝突が起きてもおかしくない』と記されている。平壌からは最近、『朝鮮半島における現在の紛争状態は近々、本格的な戦争に転じる可能性が高い』との暗号電報も届いた」
 
 ――どういうことか
 「まず、韓国政府や韓国軍に余裕が無くなっている。3月に哨戒艦が撃沈されて40人以上の犠牲者が出たのに続き、延坪島砲撃事件では軍人だけでなく一般人の死者も出た。政府も軍もメンツを潰され、強硬姿勢を取らざるを得ない」
 
 ――北朝鮮はどうか
 「北朝鮮人民軍の過激グループの動きが問題だ。金正日総書記の後継者に三男の正恩氏が決まったが、過激な軍事行動を起こして手柄を立て、正恩氏の側近に納まりたい軍幹部がいる。利権争いを繰り広げる朝鮮労働党を牽制する狙いもあるようだ」
 
 ――核兵器の使用もあり得るのか
 「ロシア国防省は、金英在(キム・ヨンジェ)駐ロシア北朝鮮大使に尋問調査を行った。金大使は『戦争になったら、われわれは対米抑止力として開発してきた核兵器を躊躇なく使用する』と明言している」
 
 ――いつもの脅しではないのか
 「そうかもしれない。緊張関係を高めて、見返りを得るのは北朝鮮のいつもの手だ。ただ、突発的な出来事が、大規模な軍事衝突に拡大した歴史は少なくない。現在、韓国も北朝鮮も頭に血が上っている。全面戦争ではとても勝てない北朝鮮が追い詰められて、最後の抵抗を…という可能性はある」
 
 《北朝鮮の金永春人民武力相は23日、韓国軍の軍事演習を『軍事的挑発で、第2の朝鮮戦争開戦を狙っている』と非難し、『もし、わが領土を少しでも侵犯すれば、直ちに強力な物理的打撃を引き続き加える』『わが武力は必要な場合に核抑止力に基づく正義の聖戦を開始する万端の準備をしている』と警告した》
 
 ――ロシアは本気で恐れているのか
 「わが国は北朝鮮と国境を接している。核兵器にしろ、生物・化学兵器にしろ、とても看過できない。最悪のケースを想定して情報収集や軍事的準備をしている」
 朝鮮半島で不測の事態が起きれば、日本への影響は計り知れない。菅直人首相率いる民主党政権の備えは万全なのか。
 
 ■加藤昭(かとう・あきら)  1944年、静岡県生まれ。大宅マスコミ塾で学び、「瀬島龍三・シベリアの真実」「『中川一郎怪死事件』18年目の真実」などのスクープを連発。「闇の男 野坂参三の百年」で94年、第25回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。

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