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ウクライナ緊張さらに深まりてプーチンロシア軍事介入 (03月02日)(日)

 くらい曇り 4−9度C 10時 大舘氏 小宮山氏と案件があって要談 13時 多重氏 萩岡氏と案件があって要談 16時 土居氏 竜崎氏と案件があって要談
 

●日本人が「冷静に」書いた韓国の近代、韓国人が「熱く」書いた日本の近代
 新刊・月脚達彦著、チェ・ドクス訳『朝鮮の開化思想とナショナリズム』(開かれた書物社)
 新刊・チョン・チャンソク著『作られた神の国』(イハク社)

 1919年3月1日に朝鮮各地で沸き起こった「独立万歳」の波は、独立した国の「国民」だという民衆の自覚が基盤になって生まれた叫びだった。
 続いて樹立された上海臨時政府は、韓国という国民国家の誕生を示す事件だ。これは、1880年代の開化期より前には存在しなかった韓国近代ナショナリズムの成立と評価されている。
 
 ナショナリズムの形成過程を追跡
 『朝鮮の開化思想とナショナリズム』は、韓国で近代的な意味として捉えられる「国民」と「国家」という概念が形成される過程を追った。著者は東京大学教授を務める日本人。著者はまず1880年代の開化思想家、兪吉濬(ユ・ギルジュン)=1856−1914=の著作に注目した。兪吉濬は、1889年に脱稿した著書『西遊見聞』と、これに先立って著述した『中立論』で、当時宗主国を自任していた清からの朝鮮の独立を主張した。朝鮮は清の「朝貢国」ではあるが、これは「属国」とは異なり、国際法の上では独立国だという主張だ。
 
 兪吉濬は「属国は、内政や外交の面で自主の権利が全くないが、朝貢国(朝貢をささげる国)は、ほかの独立国が行使する権利を(同じように)行使することができる、世界における堂々たる独立国」と主張した。兪吉濬のこうした認識は、近代的ナショナリズムの始まりだった。
 
 「他者」の認識は「清」から「日本」へ
 ナショナリズムは、自分と区別される「他者」を前提としている。著者は、これを「忘れ得ぬ他者」と表現した。皇帝の国を宣言した大韓帝国の成立過程で、「忘れ得ぬ他者」は清だった。朝鮮の高宗が、清とは異なる独自の年号を持つ大韓帝国の皇帝に即位したことは、これを象徴している。
 
 「忘れ得ぬ他者」は、1905年に日本が韓国の外交権を奪って保護国にした後、日本へと変わった。伊藤博文は、大韓帝国の皇室を「保護」しているという認識を持たせるため、純宗と共に朝鮮各地を巡幸した。しかしこれは、朝鮮の民衆のナショナリズムを刺激するという結果を生んだ。純宗と伊藤の一行を迎えた平壌の大成学校など幾つかの私立学校は、日章旗と太極旗を掲揚せよという指示を無視し、太極旗のみを掲げた。
 
 韓国の近代ナショナリズムは、大韓帝国期までは「忠君愛国」と表現されていたが、日韓併合と3・1独立運動を経る中で「忠君」と「愛国」は切り離された。独立宣言書の末尾に「朝鮮建国4252年」と記し、上海臨時政府が共和制を選んだことは、「忠君」と「愛国」が分離した韓国近代ナショナリズムの新たな段階を示している。
 
 「天皇は現人神」
 『朝鮮の開化思想とナショナリズム』が「日本の学者が見た韓国の近代ナショナリズム形成過程」だとするなら、『作られた神の国』は、韓国の学者が見た日本の近代ナショナリズムの姿だ。同徳女子大日本語学科教授を務める著者は、日本のナショナリズムの特徴を「天皇制」に求めた。「作られた神」とはまさに天皇のことだ。
 
 日本の近代ナショナリズム形成過程において、「他者」は西洋だった。1853年・54年に米国のペリー提督率いる黒船が来航し、その威勢に押された日本は、西洋に対する劣等感を克服する方法として、東洋に対する優越感を内面化した。薩摩藩などの武士は、西洋に膝を屈した幕府を倒し、有名無実化していた天皇を「現人神(あらひとがみ)」として擁立する、いわゆる明治維新を断行した。
 
 日本の帝国主義は、世界は一つの家だとする「八紘一宇(はっこういちう)」と、天皇が天下を統治するという「皇道主義」を掲げ、侵略戦争を起こした。自分たちの戦争を、日清戦争の際には「義戦」、日中戦争以降は「聖戦」と合理化した。こうした認識から、侵略と植民地支配という加害の歴史を「優れた日本民族による施し」と考える、病的な心理が出現した。
 
 著者は、日本の敗戦後に米国が天皇の戦争責任を問わなかったことについて、日本が新たなナショナリズムと真の民主主義を模索する道を閉ざす誤判だった、と指摘した。現在も、日本の政治指導者がしばしば侵略戦争と加害の歴史を否定する妄言を発しているのは、天皇制を温存し戦争責任を問わなかったからだという。
 
 「侵略者日本」と「植民地韓国」の隙間
 この2冊は、それぞれ日本の学者が見た韓国の近代、韓国の学者が見た日本の近代という点で、併読する価値がある。2冊はいずれも、史料を広く集めた研究書だが、性格は少し異なる。日本の学者が書いた『朝鮮の開化思想とナショナリズム』は、「冷たい」文体で書かれている。韓国の読者の気分を害する記述も全くないわけではないが、できる限り先入観を排除して議論を展開している。
 
 これに対し『作られた神の国』は「熱い」スタイルだ。例を挙げると「日本の帝国主義は、可能な限りあらゆる面で合理化、隠蔽、弁明、人格分裂、責任転嫁、虚勢、卑怯さ、残忍さ、潔癖症、巧言令色(口先だけでうまいことを言ったり、うわべだけ愛想よく取り繕ったりすること)、荒唐無稽(むけい)、我田引水、曲学阿世(真理を曲げて世間や時勢に迎合する言動をすること)、自家撞着、牽強付会(けんきょうふかい=自分の都合のいいように強引に理屈をこじつけること)を繰り返し、羊頭狗肉(ようとうくにく=見かけや表面と実際・実質とが一致しない例え)の陰湿な悪をさまざまな形で実践した」というような怒りの表現がしきりに登場する。
 
 互いに異なる「近代の道」で、最後には侵略主義に進んだ日本と、植民地化の被害を受けた韓国のナショナリズム。両者の間で、どうすれば隙間を縮め、どうすれば溝を越えられるか。この2冊の本に、すぐに解決策を求めるのは難しいだろう。しかし、今も続く両国の衝突の背後にあるナショナリズムの底流を理解する充実した読書体験という点では、この2冊を共に読むことに勝るものはないだろう。
 
 『朝鮮の開化思想とナショナリズム』は496ページ、2万8000ウォン(約2700円)、『作られた神の国』は363ページ、2万ウォン(約1900円)。以上 朝鮮日報 李漢洙(イ・ハンス)記者の記事。
 

●モスクワ発FNN
 ロシアのプーチン大統領は、政変で混乱が続くウクライナに軍事介入することを決めた。同国南部クリミア半島セバストポリにあるロシア黒海艦隊基地を「死守」するほか、将来的にクリミア自治共和国のロシア帰属も視野に入れている可能性がある。ウクライナへの軍事介入と国家分裂につながる動きは、同国の新政権や欧米が反発するのは必至で、クリミアをめぐり新たな「冷戦」が生まれる恐れもある。
 
【ウクライナ】「露軍は兄弟」自治共和国の首都に大歓声
 ロシア大統領府の発表によると、ウクライナへの派兵はクリミアなどに多いロシア系住民や駐留ロシア兵らの安全確保が目的とされる。帝政ロシアが併合しソ連時代にウクライナに移管されたクリミアは、人口の6割をロシア系が占める。ロシアは2008年のグルジア紛争でも、南オセチアのロシア系住民の保護を名目に軍事介入した。
 
 クリミアは大統領を解任されたヤヌコビッチ氏の支持基盤で、親欧米路線を取る新政権への反発が強い。ロシア系住民の間ではウクライナから分離してロシア連邦に加入すべきだとの意見が強まっていた。自治共和国では将来の地位に関する住民投票が3月30日に実施される予定で、この結果をもとにロシア連邦への加入論が一気に高まることも予想される。
 
 クリミア入りしているロシア政権与党「統一ロシア」のビャトキン下院議員は2月28日、ロシア通信に対し、クリミアのロシア系住民へのロシア国籍付与や自治共和国のロシア連邦編入について、「可能性を探るだけでなく、ロシアの義務として検討しなければならない」と指摘。実現に向けた法整備に前向きの考えを示した。
 
 ロシアはグルジア紛争で、グルジアからの独立を宣言していた南オセチアとアブハジアの国家承認に踏み切った。今回もクリミアの独立承認やロシア連邦編入をシナリオに描いている可能性はある。
 一方、ロシアの軍事介入にウクライナ新政権が反発するのは確実で、両国軍の本格的な戦闘に発展する恐れがある。またウクライナでは今回の政変で反ロシア色の強い民族主義勢力が台頭しており、パルチザン的な反抗に出て泥沼化することもありうる。
 欧州とロシアにはさまれたウクライナは地政学的に要所であるだけに、軍事衝突となれば欧州の安全保障を揺るがすことになる。

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