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源心庵ここに人ありいにしえの先人しのびかるたとる午後 (03月29日)(土)

 快晴 晴れ 6時45分ー7時15分 散策 9−20度C 午前中 原稿 13時30分 社会福祉法人厚生会理事評議員会 15時 中座 15時20分 案件があって嘉藤氏 左高氏と要談 17時 神楽坂氏 伊井氏と案件があって要談 
 

●みんなの党の渡辺喜美代表(62)による8億円借り入れ問題が、刑事事件になる恐れが出てきた。元東京都議が、公職選挙法違反などの疑いで東京地検特捜部に告発状を提出したのに続き、数々の事件を手がけてきた元大阪高等検察庁公安部長の三井環氏(69)も重大関心を寄せているのだ。三井氏は「立件の可能性は十分ある。逮捕もあり得る」と指摘した。
 
 新事実が発覚した。 渡辺氏が2012年12月の衆院選前に、化粧品販売会社「ディーエイチシー(DHC)」の吉田嘉明会長(73)に「(衆院選に)60人ぐらい候補を立てる」と選挙情勢を説明したうえで、「あと5億円必要です。何とぞご融資お願いします」と記したメールを送っていたのだ。
 
 「熊手釈明」と失笑を買った27日の記者会見で、渡辺氏は「個人的に借りた。違法性の認識はない」と語ったが、吉田会長は「言い訳で通そうとしている。5億円は選挙のためとハッキリしている」と断言した。
 元検察幹部で、現在は社会の不正を追及する市民団体「市民連帯の会」を主宰する三井氏も「(徳洲会グループから5000万円を受け取り、公選法違反罪で略式起訴となった)猪瀬氏のケースと非常に似ている」といい、こう続けた。
 
 「猪瀬氏より金額が多い分、悪質ともいえる。借り入れが選挙や政治活動に使われたと証明されれば、公選法違反か政治資金規正法違反に問われる。今回の場合、資金を提供した吉田会長が『選挙資金』と認めているため、証拠固めはしやすい。立件までのハードルはそれほど高くない。逮捕もあり得る」
 
 公選法では、3年以下の禁錮か、50万円以下の罰金。政治資金規正法では、会計責任者に5年以下の禁錮または100万円以下の罰金が科される可能性がある。
 三井氏は調査を重ねたうえで、渡辺氏を東京地検に告発することも視野に入れている。いざ司直のメスが入れば、どんな捜査が展開されるのか。
 「渡辺氏が党代表を務めているため、カネの流れを把握するため、全所属議員への事情聴取が行われるかもしれない。党の存続も危ぶまれる事態だ。渡辺氏が苦しい言い訳を繰り返すのは、そうしたシナリオを恐れているからに他ならない」
 

●オランダ・ハーグで「百聞は一見に如かず」の重みを痛感するとはー。安倍晋三首相と韓国の朴槿惠大統領の直接対話が25日、ハーグでオバマ米大統領を交えて実現した。首相に同行した水内は、歴史的な日米韓首脳会談を直接取材する機会に恵まれたが、目にしたのは、終始下を向き続ける朴氏の異様な姿だった。笑顔で語りかける首相とは視線を合わせず、朴氏は石のように固まったまま。反日に凝る韓国メディア向けの演技なのか本心か。気まずい会場からは、日韓関係の「薄氷」ぶりが浮き上がった。
 
 日本記者団の滞在先のホテルから、バスに揺られること15分。3カ国首脳会談が開かれる在オランダ米大使公邸は、厳重な警備に包まれていた。公邸の数十メートル前から地元警察がバリケードを築き、入り口では屈強そうな犬が水内のカバンの臭いをかぎまくった。米側の関係者が勝手に記者パソコンの電源を入れ、爆発物でないかを確認する。
 
 公邸の中庭で1時間近く待たされた後、日米韓の記者が各国1人ずつ、数十秒おきに会談会場の部屋に通された。米側は一気に記者がなだれ込み、騒然となるのを避けたかったのだろう。女性の米大使館員が「Be quiet!(静かに)」と何度も大声をあげ、妙な緊張感が高まる。
 ようやくたどり着いた会場で、まず目にしたのは、オバマ氏が闊達と会談の趣旨を語る姿だ。
 
 「(日米韓首脳の)3人が、一緒に重要な課題を話し合う最初のチャンスだ。米国にとって韓国と日本は世界で最も緊密な同盟国。3カ国が結束を示していくことが、われわれ国民とアジア太平洋地域にとって、重要なメッセージになる」
 安倍首相はオバマ氏のあいさつに何度も深くうなずいていたが、朴氏はじっと斜め下を向き、唇をかみしめたまま動かない。「沈痛」という言葉がぴったり当てはまるような固まりぶりだ。
 
 朴氏は会談前夜のオランダ国王主催の晩さん会を「体調が悪い」と欠席。当日も、直前まで複数の日程をキャンセルしていた。現地では「会談を拒むための仮病でないか」と憶測もあったが、実際朴氏の顔色は悪く、体調は悪そうだった。
 ただそれを差し引いても、石地蔵のように固まる朴氏の態度は異様だった。
 
 「北朝鮮のさまざまな動きを受け、3カ国のより緊密な協力の必要性が高まってきた。オバマ大統領と安倍首相と意見交換を行うこの機会は非常に意味がある。北朝鮮の核問題は、地域の平和と安定に対する重大な脅威だ」
 オバマ氏に続き、朴氏は一言一言かみしめるように語り出したが、視線は下から動かさない。日米両首脳は相づちを打ち、時折朴氏に視線を向けるが、朴氏は床をみたままだ。オバマ氏を挟み3人並んだテーブルで、朴氏と日米首脳の間に見えないカーテンがかかったようだった。
 
 最も日韓首脳の溝が顕著になったのが、安倍首相のあいさつだ。
 「パククネデトンニョンニムル マンナソ パンガプスムニダ(大統領様、お会いできてうれしいです)」
 首相はオバマ氏越しに顔を乗り出し、笑顔で語りかけた。朴氏は一瞬ビクッと反応したが、にこりともせず視線を床に落としたまま。
 
 「北朝鮮の問題で日米韓が緊密な連携を確認することはきわめて重要だ。北が核・ミサイル、拉致や離散家族など人道問題について前向きな行動をとるよう、3カ国でしっかりと協力をしていきたい」
 首相がスピーチを終えるまで朴氏を見ていたが、顔をあげた姿は最後まで確認できなかった。ここまで同じ姿勢を保つ方が肩も凝って大変だと思うのだが。
 
 3氏の冒頭あいさつを終え、退場を迫られた記者団から「握手を!」とのかけ声が飛んだ。しかし、安倍首相も朴氏もモゾモゾとして、なかなか手を差しだそうとしない。見かねたオバマ氏が、記者団に苦笑いしながら「わかるだろ」と目線でつぶやいた。
 最大1時間を予定していた会談は、45分で終了。当初の申し合わせ通り、話題は北朝鮮情勢に絞り、朴氏がこだわってきた歴史認識は一切取り上げなかった。
 「朴氏の姿に、学生時代に参加したある合コンを思い出しましたよ。友達にだまされ、自分と明らかに雰囲気が違う集団に紛れ込んでしまい、いたたまれず退散した苦い思い出を…」
 
 帰国後、同席したある外務省幹部を赤坂見附のそば屋に誘い出し、水内は会談を取材した素朴な感想をぶつけてみた。
 朴氏は全身から「ここは私のいる場所でない」というオーラを出していた。氏の周囲だけ空気の色が違ってみえるようだった。
 「それはまさに彼女の作戦通りじゃないですかね」
 
 幹部氏は、焼酎の水割りを転がしながら笑ってみせた。
 「彼女は会談の最後、笑顔で安倍首相と握手していましたよ。韓国のマスコミがいなければ、彼女も笑顔をみせられるんじゃないですかね」
 あの「石地蔵」のような姿は、韓国メディア向けの演出というわけか。
 「会談中の朴氏の顔には、『米国の顔を立てるために仕方なく会った』と書いてありました。彼女は政権の中間評価ともなる統一地方選を6月に控えており、求心力の維持に躍起。今はマスコミがいる前で、日本に甘い顔をみせられないはずです」
 
 確かに韓国メディアの反応は、幹部氏の見立て通りだった。有力紙には「日本に対する韓国国民の厳しい心情を表した」といった論調が目立った。「石地蔵」が演出だったならば、大成功を収めた形だ。
 朴氏は23日、中国の習近平国家主席と会談。初代韓国統監の伊藤博文を暗殺した安重根の記念館開設の話題で盛り上がった。韓国国民からすれば、朴氏の「日米韓」での社会的礼儀に欠けた対応は、安倍首相への留飲をさげる一助にもなったはずだ。
 
  「ただね…問題はより深刻だと思うんですよ」
 幹部氏が焼き鳥を串から解きながら、ふうっとため息をついた。
 「朴氏を大統領就任前から知っているが、本当は裏表のない人物だ。自分の気持ちはストレートに表現する。先ほどの演出論を自己否定するようなものですが、私が朴氏の姿に率直に感じたのは、『生理的にこの場にいたくない』という隠しようのない気持ちでないかと」
 うーん。安倍氏は首相就任前に朴氏と面会したことがあり、2人の相性はそれほど悪くなかったと聞いたこともある。水内は「日韓のもつれた糸をほぐすにほぐせないジレンマが、体を固めたのでないか」と分析したが、幹部氏は「もっと根源的な感情論ではないでしょうかね」と厳しい表情をみせる。
 
 幹部氏は、日韓の国交正常化に腐心した父の朴正煕元大統領が暗殺され、母の陸英修夫人も在日韓国人に暗殺された過去を語り始めた。「朴氏は頭で『ここで笑顔を見せなければならない』とわかっているはず。ても、体が言うことを聞かないのでは」
 4月にはオバマ氏が日韓を歴訪する予定が控えている。朴氏はその米国に強く諭された以上、安倍氏と面会を拒む選択肢は事実上なかったはずだ。会談直後、北朝鮮がミサイルを80発以上放ったことから考えても、日米韓連携の重要性は論をまたない。
 
 当初こそ韓国メディアは朴氏の姿勢に喝采を送っていたが、ここへ来て論調も微妙に変わりつつある。朝鮮日報は29日付コラム「韓国ほど『歴史の清算』に執拗な国はない」でこうつづった。
 「日本が憎いといって米国の秩序からも離れようとすれば、その瞬間、韓国は北東アジアの安全保障体制における『弱い連携』になり下がってしまう。歴史を前面に出した中国の歓待や、それに対する韓国の感情的な連帯意識は、国際社会にどのようなシグナルを送っているか、省察する必要がある」
 
 安倍首相は慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」を「見直すことは考えていない」と明言し、慰安婦問題を議論する日韓局長級協議にゴーサインを出すなど、3カ国会談実現にカードを切ってきた。ただ、朴氏がオバマ氏に配慮こそすれ、首相となお溝を作るのなら、日韓のみの首脳会談など遠い先の話となる。朴氏の固まった姿は個人的感情か演出か。ハーグでは桜が満開だったが、日韓の桜はつぼみなのか散り際なのかわからない。

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