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注目の憲法見直し容認へ集団自衛権論議はげし (05月15日)(木)

 曇り 6時45分ー7時15分 散策 18−25度 8時 トーヨー 10時 国際政経懇話会 12時 昼食会 13時30分 案件があって好野氏 戸田氏と要談  15時 佐方氏と案件があって要談
 


 財務省は「国の借金が過去最大の1024兆円になった」と発表した。一方で、財務省は「国債の海外売り込みを強化する」とも報じられている。
 
 財務省が国内で国の借金を強調するときには、財政再建の必要性を主張し、その達成手段として増税に結びつける。しかし、海外で日本国債を売ろうとするときには、当然、日本の財政状態が良いことを強調しなければ、海外投資家から買ってもらえない。したがって、今の財政状況に関する評価としては、国内で「悪い」といい、海外では「良い」とやや矛盾したことを言いがちになる。
 
 こうした国内外でのダブルスタンダードは、これまでもあった。国内では、国のバランスシート(貸借対照表)の右側にあたるグロスの債務額に対するGDP(国内総生産)比が200%といい、国外ではバランスシートの左側の資産も考慮したネットの債務額に対するGDP比100%などと言ったりしていた。
 
 ただし、国内では学者やマスコミを簡単にだませても、国外の投資家は財務省にとって手ごわい。財政再建の必要性は世界各国で共通であるが、その手法としては、増税の前に政府資産の売却がある。
 
 政府資産といっても、特殊法人などへの出資金や貸付金という金融資産が大半であるので、特殊法人などの民営化によって簡単にキャッシュにできる。政府資産の売却は、先進国では財政再建の方法として当たり前だが、日本では官僚の天下り先を失うことになるので、言及するのはご法度だ。このため、これまで財務省は海外での日本国債の売り込みをあまり積極的に行ってこなかった面もある。
 
  しかし、今年4月から消費税増税が実施されたこともあり、政府資産売却に注目を集めずに、増税で財政再建するという言い方が容易にできるようになった。しかも、来年10月からの10%への再増税を見送れば、海外における日本国債の売れ行きにも影響するといって、国内への脅しにも使えるという財務省の魂胆もあるだろう。
 
 もちろん、長い目でみれば、日本は今後対外純債権国から純債務国への道のりをたどっていくだろう。その場合、日本国債を海外の投資家に保有してもらうのは必然である。しかし、それは遠い将来であって、2013年度も過去最低とはいえ、まだ経常収支は7899億円の黒字。対外純資産も増えて相変わらず世界最大だ。ここ数十年間、日本が純債務国になる心配は不要。
 
 今のタイミングで、組織改正してまでも海外投資家への国債売り込みに取り組むのは、「増税するから日本国債は大丈夫」という国内のロジックを海外投資家に使い、今度は「国外に増税を公約したので、増税は不可避」と言いたいからだろう。
 
 この動きに便乗して同時に組織の拡大も行うことは官僚の「手柄」にもなり、一石二鳥なので、財務省は海外への日本国債売り込みに積極的に動いたのではないか。果たして国内のように海外投資家も財務省の手の上で踊るようになるのかどうか、見ものである。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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