<カレンダーへ戻る
バックナンバー 

吹き荒れしアラブの春の象徴といわれしムバラク一転無罪に (12月27日)(土)

 今日で株式会社トーヨーの執務は終わり 晴れ 5−14度C 10時 山田氏が来訪パソコンの件 13時 案件があって陳明峰氏 由船氏 小見山氏らが来訪要談
 14時 向居氏 波多氏 久米田氏と案件があって要談
 15時30分 案件があって金田氏 張氏 ジャック・好野氏と要談
 
●フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の著書『21世紀の資本』が好評である。筆者も英訳版を読んでいたところ、日本語訳者の山形浩生さんから日本語版をいただいたので、それも読んでみた。
 
 700ページを超える本で字も小さいが、経済学の本にしばしば登場し読者を遠ざける数式の羅列もなく、歴史書の感覚で読める。ただし、日本の歴史書と異なり、ストーリーはデータに基づいている。筆者は歴史が好きなのだが、多くの歴史書はまずストーリーありきでデータがほとんどないのが不満だった。こうしたデータ満載の歴史書ならいくらでも読みたいものだ。
 
 この本のエッセンスは恐ろしく簡単だ。資本収益率(ほぼ4〜5%)が所得成長率(ほぼ1〜2%)よりも高いことを、各国の歴史データで示している。これを高所得者と高資産保有者がますます富むことの理由に挙げ、多くの国で格差が拡大したことを証明したのである。
 
 格差社会を好まない彼はこの現状を打破するため、資本収益率を下げることが有効と考え、資本課税の強化を主張する。それも国際協調のもとですべての国で課税強化策を採用すべしという政策提言になる。
 
 ただし、こうした単純なことを主張するために、さまざまな角度からの検討が必要であるが、ピケティ氏は学者の良心に基づき、それを丁寧に行っている。従来の本と違う新しさというのも、20カ国の大量の歴史データである。
 
 その分析によって、200年以上の歴史のなかで、第1次世界大戦と第2次大戦の間と、第2次大戦後のしばらくの間は格差の小さい時期だったが、それ以外は格差の大きい時期であることを明らかにしている。これらの主張は、かつてノーベル賞受賞経済学者のサイモン・クズネッツ氏が主張していた「逆U字仮説」を覆すものだ。つまり、経済成長当初、格差は拡大するが、一定レベルを超えた先進国では経済成長に伴い格差が減少する、とのクズネッツ氏の主張に真っ向から反している。
 
 1930年〜80年にかけて格差が縮小していたのは一時的現象であって、資本主義では、資本収益率が所得成長率より高いのが常で、先進国でも格差は拡大するというのがピケティ氏の主張だ。
 
 『21世紀の資本』が欧米でヒットした背景には、多くの読者が何となく格差が拡大していると思っていたところ、同書の論証によって、やはりそうなんだという納得感を得たからだろう。
 
 上位1%の所得階層が占める所得割合について、日欧米では第2次大戦前に20%近かったが、戦後は10%にも達せず、安定または低下傾向であった。しかし、80年代から上昇傾向に転じている。特に、英米で急上昇は著しく、第2次大戦前の水準である20%近くにまで達している。
 
 ちなみにピケティ氏の日本経済に対する見方は、とてもまっとうだ。最近のインタビューで「物価上昇を起こそうという姿勢は正しい。物価上昇なしに公的債務を減らすのは難しい。2〜4%程度の物価上昇を恐れるべきではない。4月の消費増税はいい決断とはいえず、景気後退につながった」と述べている。以上高橋洋一氏の論評

<カレンダーへ戻る